男には家の外に七人の敵がいる」と言われる。家の外、即ち社会に出れば多くのライバルや敵がいて、様々な気苦労やストレスが絶えないが、それ自体が案外生きる張り合いになっていることも少なくない。定年退職した途端、がくっと生きる張り合いを失くすのが女性より男性に多いのは、それが理由かもしれない。年齢が長じるに従い死別・生別、あるいは人間が丸くなって「敵」の数も自ずから「減って」行くが、それがかならずしも「敵が減って良かった」にならないところが、男心の単純とは言えない微妙なところである。それが季語「冬銀河」から感じられる。「冬」は星が、四季の中でも一番くっきりと美しく見える季節である。天の川銀河も、何の邪魔するものも無くくっきりと見えているが、でも「寒い」のだ。牧石剛明には他に/蟬穴を鴉の次に覗きけり/柔らかき財布でポインセチア買ふ/十薬の花の厚みの曇り空/駆け出して日暮の匂ひ紅葉散る/炎昼のうつらうつらと猫科なり/酒瓶の芯の眩しき夜の蝉/かまくらのうしろの闇へ炭火捨つ/ときをりは癌に昂ぶり冬椿/など。