色は光の波長で決まる。人間に見える色と、他の動物や昆虫に見える色は必ずしも同じではない。人間の眼に見えるのは光の3原色(赤・緑・青)で「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の七色のグラデーション+白・黒は見えるが、それ以外の赤外線や紫外線は見えない。一方「蜂」は赤が見えず、「橙・黄・緑・青・藍・紫・紫外線」+白・黒が見える。また黒は蜂にとって敵を示す警戒色であり、ミツバチ以外の蜂は色を白・黒で判断するので、黒または黒っぽい服を着ていると蜂に刺される確率が高くなる。紫外線を見る能力は、太陽の位置を知ることで、自分が今いる位置と巣の方角を知るのに役立っている。また橙・黄・緑は見えるといってもおおむね黄色に、青・藍・紫は青っぽく認識しているらしい。従って虫媒花は、南瓜などの黄色系統か、青系統、白系統の花が多い。「黄金の花」は蜂の大好物。そのことが「逢いたる」の「逢」の字に籠められている。「逢う」と「会う」では、同じ会うのでもニュアンスが違う。「逢う」の方は「恋人に逢う」など、何かしら強い想い入れを持っている人に会う時に用いる。作者は「黄金の花」に「逢った」「蜂の声」に、微妙な違い、歓喜の波長を感じ取ったのだ。真木早苗には他に/春光の富士も入り来しロマンスカー/象の鼻のすべり台の子春の昼/炬燵ぬくし奇なる話を交しいて/目を閉じて聴く老鶯の不調かな/そぞろ寒軒を並べて店じまい/己が身に鞭うつており破芭蕉/お仕置の柱失せたり青芒/黄泉からも鬼灯提灯見えますか/など。